2017年04月28日

『時間の習俗』松本清張

殺人の舞台が水城ということで読んでみた。

冒頭は和布刈神事で始まる。
寒さ厳しい二月の海辺、真夜中から始まるこの神事は行くのが難しい。
その前日、相模湖湖畔のホテルに若い女と
交通関係業界紙の編集人土肥武夫のカップルが現れ、
土肥が死体で発見され女は消える。

捜査を担当するのは三原警部補。
有名な『点と線』のあの三原警部補だ。
時代設定は『点と線』から4年後。

三原は土肥の関係者をあたるうちに
タクシー会社の専務峰岡周一に目星をつける。
アリバイは殺人事件があった時刻、
和布刈神事を見ていたということだった。
そうこうしているうちに第二の殺人事件が水城で起こる。
今度は若い男だ。

水城のほかに都府楼跡も俳句趣味のある峰岡が
福岡出張のついでに立ち寄ったということで登場する。

小説が書かれた昭和30年代、周りは田んぼだらけで
農家がちらほらとあるだけというので、
住宅地に様変わりした現在とはずいぶん違う。

三原が峰岡の巧妙なアリバイを少しずつ切り崩していく様子に引きつけられる。
暗さの漂う松本清張のストーリー作りはやはり素晴らしい。

時間の習俗 (新潮文庫) -
時間の習俗 (新潮文庫) -
posted by 理乃(ニックネーム) at 14:54| 福岡 ☀| Comment(0) | ★太宰府関連本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年04月25日

『小説 立花宗茂(むねしげ)』童門冬二(どうもんふゆじ)

読書のターゲットに太宰府関連本を入れているのだが、
これはその一つ。
立花宗茂は岩屋城の闘いで壮絶な死を遂げた高橋紹運の息子。
高橋紹運はキリシタン大名の大友宗麟の忠臣だった。
最期まで忠義を尽くした上に討ち死にすることになった。
数々の武将が宗麟から離れていく状況で、
高橋紹運と共に忠臣であり続けたのが立花道雪。
息子がいなかった道雪は娘、ァ千代(ぎんちよ)を城主に決めていた。
その後、養子となって立花城へ入ったのが宗茂だった。
故にァ千代とは上手くいかず子どもにも恵まれなかった。
やがて豊臣配下につき柳川藩城主となる。朝鮮出兵でも大活躍。

このあたりまでは知っていたのだが、
関ヶ原の戦いで豊臣方につき改易されてからの浪人時代、
そして江戸幕府に仕え、陸奥棚倉の領主となり、
その後柳川藩に返り咲いたという史実は知らなかった。
旧領を回復した武将は宗茂ただ一人ということだ。
なんという数奇な運命。
改易を受けたあと、家臣に生活の面倒をみてもらいながら無為に過ごす日々があり、
陸奥の領主になっていたとは驚きだった。
戦国時代の忠義というものには理解を示せないが、
時代を果敢に生き切った武将の人生を丹念に追った一冊。

宗茂は幼いころ父高橋紹運の元で、
この太宰府の地で武術を鍛えていたのだろう。
その後、岩屋城の闘いで流れた多くの血。
今も五条あたりに多く残る石碑がそれを偲ばせる。

全一冊 小説立花宗茂 (集英社文庫) -
全一冊 小説立花宗茂 (集英社文庫) -
posted by 理乃(ニックネーム) at 13:03| 福岡 ☁| Comment(2) | ★太宰府関連本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする