2020年05月26日

「道鏡」坂口安吾

道鏡 - 坂口 安吾
道鏡 - 坂口 安吾

道鏡の描かれ方はさまざまだ。
孝謙天皇に寵愛され姦通した破廉恥僧とする説や
巨根説などがまことしやかに唱えられ、
説話集でも語られた。
坂口安吾の道鏡はそれとは異なり、
道鏡を天智天皇の皇子、志貴皇子の落胤とする説を取り、
女帝に従順に仕えた大人しい僧として描かれる。
その魂は高邁で、学識は深遠で俗界の狡知に慣れないと。
「道鏡」というタイトルだが、
大化の改新からの天皇家のお家騒動を説明するような歴史の教科書的側面がある。
男性天皇であれば何人もの女性を娶るのに、
女性天皇だとそれが許されない。
道鏡と称徳天皇の愛の真実は永遠の謎。
道鏡は称徳天皇の死後、その陵下に庵をむすび、冥福を祈り、のちに下野薬師寺の別当を命じられた。
坂口安吾は薬師寺別当は流刑に当たらない。
道鏡は「たぶん、煙たがられていたにしても、
さして憎まれてはいなかったのだ」と書いている。
坂口安吾が感じた道鏡の気品。
一人の歴史上の人物を見つめる目はこれほど異なる。
ラベル:道鏡 坂口安吾
posted by 理乃(ニックネーム) at 17:50| 福岡 ☔| Comment(1) | ★太宰府関連本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする