2017年01月19日

刀伊入寇 藤原隆家の闘い 葉室麟著

刀伊入寇 藤原隆家の闘い (実業之日本社文庫) -
刀伊入寇 藤原隆家の闘い (実業之日本社文庫) -

久しぶりに面白い小説を読んだ。
面白すぎる。
元寇の前に刀伊(とい・女真族)という外敵が博多に攻めてきてたなんて。
もしもそのとき藤原隆家が大宰権帥として赴任していなかったら、どんなことになっていたかわからない。
そんな大事な歴史なのに、なぜこんなにも知られていないのか不思議だ。
この小説はそんな歴史の真実を踏まえながら、
清少納言と紫式部が同時に宮仕えをしていたり、
安倍晴明が出てきたり、
隆家が対立する花山院に刀伊の一族が仕えていたり、
物語を面白くする仕掛けがもりだくさんだ。
なにより主人公の隆家がかっこいい。
政界を牛耳った道長の甥で一条天皇の后の定子の弟である隆家。
兄の伊周(これちか)、父の前関白の道隆同様に美男の隆家は殿上人でありながら荒っぽい。
やがて政争に明け暮れる京に嫌気がし、自ら望んで大宰府にやってくる。
そして侵攻してきた刀伊は壱岐・対馬を襲い、博多で民家を焼いた。
刀伊に立ち向かう隆家に作家が言わせる言葉がいい。
それはなぜ隆家がこの国を守るのかということ。
「この国には敗者を美しく称える雅の心がある。だからこそ、この国を守りたいと思う。この国が滅びれば雅もまた亡びる」
そして滅亡した渤海国の末裔、女真族に対する眼差しがまたいい。
博多を荒らした女真族は祖霊の地に戻り、金を建国。金は北宋と盟約を結び、宿敵契丹を滅ぼす。やがてモンゴルに滅ぼされるまで、百年間、北部中国を支配した。
滅んだ国の末裔たちの悲しい生。隆家が契る女真族の怪しい女、瑠璃。そして生まれた息子は物語だけの存在だが、その者たちに対する隆家の接し方がいい。
1000年前に起きた刀伊入寇、そしてこの地で活躍した隆家という人。
もっともっと知られなければならないと思う。
にしても鎧と烏帽子をつけ闘う隆家はかっこよすぎだ。
posted by 理乃(ニックネーム) at 02:19| 福岡 ☁| Comment(0) | ★太宰府関連本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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