2019年05月27日

「蛇衆」矢野隆

蛇衆 (集英社文庫)
蛇衆 (集英社文庫)

あることで太宰府関連本なので読んでみた。
室町末期、領主がたちが争う戦乱の時代。
どこにも所属せず、
傭兵として雇われるまま戦乱で格闘する6人の集団「蛇衆」がいた。
宗衛門老人が手引きし、各地を渡りあるいていたが、
九州の鷲尾嶬嶄に雇われることになる。
その戦いぶりはすさまじく、それぞれ得意の武器を手に
人をまっぷたつに切ったり、血だらけの殺戮を繰り返す。
頭目の朽縄にはある出生の秘密があり、
一人、仲間を抜け武士となる道を選ぶ。
それが蛇衆壊滅の序章だった・・・。
スピード感のある展開、不条理な世界で生きる異端児たち。
主人公と思しき人物が途中で死ぬという意外なストーリー。
ゲーム世代の新たな歴史小説。
ラベル:蛇衆 矢野隆
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2019年05月21日

「言霊 大伴家持伝」篠崎 紘一

言霊 大伴家持伝 (角川書店単行本)
言霊 大伴家持伝 (角川書店単行本)

ブーム到来の万葉集。
1200年もあとに、注目されているこの日々を家持はどう思うだろう。
政治に翻弄され、何度も謀反の罪を着せられながら、
家持は万葉集編集に苦心し、国書と認めさせることに尽力した。
その苦労が描かれた小説。
残念ながら少年期を過ごし、
梅花の宴をそばで見ていただろう大宰府での日々は描かれていない。
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2019年05月07日

「巨海に出んと欲す」金重明

巨海に出んと欲す
巨海に出んと欲す


純友物三作目は金重明(キムチュンミョン)の「巨海に出んと欲す」。
貴族が私利私欲に走り、下々を圧迫していた10世紀。
自由な海の民の世界を夢見る純友は海賊たちを先導し、
遊女や傀儡(くぐつ)、青い瞳の外国人などを東国に放ち、
平将門が乱を起こすように図ります。
うまくいくように見えた作戦は将門と純友のあっけない死により幕をおろします。
美しい海賊の女頭と青い瞳の男の実らぬ恋。
異国との貿易の富を独り占めしていた大宰府を焼き尽くした炎。
巨海に自由に出ようとした純友の熱い思い。
権力に立ち向かうその姿はかっこいい。
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「海と風と虹と」海音寺潮五郎

海音寺潮五郎全集〈第3巻〉海と風と虹と (1971年)
海音寺潮五郎全集〈第3巻〉海と風と虹と (1971年)

現在、政庁跡で見られる礎石は第V期のもの。
第U期の政庁は天慶4年(941年)の伊予の海賊、藤原純友により焼き討ちに遭い
焼土と化しました。
悪者とされた純友は腐敗した貴族政治に反旗を翻したヒーローだという小説
「絶海にあらず」(北方謙三)を以前読みましたが、
純友は魅力のある人物らしく、他にも小説があります。
その一冊がこの海音寺潮五郎の「海と風と虹と」。
二段組の大著で読破にかなり手こずりました。
傀儡の描写が素晴らしかったです。
1976年にはNHK大河ドラマにもなっています。
ラベル:純友 藤原純友
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2019年03月04日

「天上の虹E」 里中満智子

天上の虹(6) (講談社漫画文庫)
天上の虹(6) (講談社漫画文庫)

讃良(さらら)の人生ってほんとに大変なものだったのですね・・・。
天武天皇に跡継ぎは自分だと言われた大津皇子は
天武天皇の意志を公開することを決心して、姉の大伯皇女に会いに行きます。
不安に駆られた姉は弟に歌を贈ります。

「我が背子を 大和へ遣ると さ夜ふけて 暁露に 我が立ち濡れし」

686年、ついに天武天皇崩御。享年57歳。
一人の大臣も置かず、
ただ一人の権力者として君臨した初めての天皇でした。
完全な律令制の発布、歴史書編纂、
新都建設という国家事業は推進中途。
殯の儀式で、天武天皇から跡継ぎは自分と言われたと宣言した大津は
讃良の怒りを買い、死罪となってしまいます。
讃良の息子、草壁皇子は689年、天皇を継ぐことなく、
運命と悲劇によって精神を病み、ついに亡くなってしまいます。
我が子も姉の子(大津皇子)も失ったことで讃良は女帝となるのです。
ここまでがE巻。
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2019年03月03日

天上の虹D里中満智子

天上の虹(5) (講談社漫画文庫)
天上の虹(5) (講談社漫画文庫)

どんどん面白くなってきます!
天武天皇の跡継ぎとして、
大津皇子か草壁皇子か周囲が噂します。
ひ弱な草壁、何事にも積極的な大津。
681年に天武天皇治世10年目に皇太子(ひつぎのみこ)となったのは
讃良(さらら)の息子、草壁皇子でした。
病に罹り、重篤化していくなかで天武天皇は大津に皇位を譲りたいと言います。
大津贔屓の友人たちはいきり立ちます・・・。
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2019年03月02日

「天上の虹C」 里中満智子

天上の虹(4) (講談社漫画文庫)
天上の虹(4) (講談社漫画文庫)

この巻に描かれた高市皇子(大海人皇子と宗像君尼子娘の息子)と
十市皇女(大海人皇子と額田王の娘)の実らぬ恋が悲しすぎます。
幼い頃から相思相愛だった二人。
十市皇女(とおちのひめみこ)は片思いされている
大友皇子(中大兄皇子と宅子娘の息)から求婚され、
やむなく結婚。
壬申の乱ののち、ついに高市と結ばれますが、
現政権を守るため天武天皇は二人を引き裂きます。
斎王に任命され、出立当日の朝。十市皇女は自害するのです。
高市皇子が十市皇女を思った歌が残っていて涙(T_T)・・・。
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2019年03月01日

天上の虹B里中満智子

天上の虹(3) (講談社漫画文庫)
天上の虹(3) (講談社漫画文庫)


3巻では壬申の乱が勃発します。
どこまでも大海人皇子について行くと言う讃良。
そしてもしも大海人皇子が戦いに倒れたら・・・。
一緒に死ぬとは言わず、代わりに志を実現するために生きると言います。
ここが讃良の強さ。
どんどん計画を進める大海人皇子。
一方、亡くなった中大兄皇子の跡を継いだ大友皇子の腰は重い。
ここで筑紫が再び登場。
栗隈王が大友皇子側から出兵を迫られますが、
筑紫の兵は唐に対するものと拒否。
ついに大友皇子は自死します。
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2019年02月27日

「天上の虹A」里中満智子

天上の虹(2) (講談社漫画文庫)
天上の虹(2) (講談社漫画文庫)

この巻では筑紫が登場します。
百済救援のために一族上げて筑紫に南下。
朝倉橘広庭宮に宮が築かれるも斉明天皇は崩御。
そして白村江の戦いで敗戦し、多くの犠牲を出します。
中大兄皇子は近江大津宮へ遷都。
讃良は大海人皇子の息子、草壁皇子を出産。
けれど夫には讃良のほかに何人も愛する女たちが・・・。
自分は政治の話の相手にすぎないと、満たされない思いに悩みます。
「他の女のところに行かないで」と言えない讃良。
その心理は嫉妬深い女と思われることで嫌われたくないから。
けれど、夫が振り向いてくれないからといって、
息子にすべてをかけようとするのは愚かという理性を持っています。
一方中大兄皇子はついに即位し、天智天皇となります。
668年、近江大津宮で薬猟(くすりがり)が行われ、
有名な額田王と大海人皇子の歌が生まれます。
「茜さす 紫野ゆき 標野ゆき 野守は見ずや 君が袖振る」
「紫草の 匂える妹を 憎くあらば 人妻ゆえに 我恋めやも」
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「天上の虹@」 「里中満智子

天上の虹(1) (講談社漫画文庫)
天上の虹(1) (講談社漫画文庫)

「応天の門」から飛び火して「天上の虹」を読む機会を得ました。
持統天皇(鵜野讃良皇女/うののさららのひめみこ)の物語です。

@では讃良がまだ幼い子ども時代から描かれます。
祖母は斉明天皇、父は中大兄皇子、夫は大海人皇子。
恋した人は有間皇子。
錚々たるメンバーのオンパレード。
冷徹な父、中大兄皇子は邪魔になる者たちを死に至らしめ、
弟の大海人皇子と対立。
東アジア情勢は危機に陥り、
@巻は一族上げて筑紫へ向かうまでが描かれます。
一人の男に何人もの妻。
その中で愛に悩む讃良。
父と夫のはざまで、鵜野讃良皇女は強い意思を持つようになります。
終わり近く突然現れた有間皇子似の美少年柿本人麻呂の存在が気になる〜。
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2019年02月11日

「更級日記」 菅原孝標女

更級日記 (角川ソフィア文庫―ビギナーズ・クラシックス)
更級日記 (角川ソフィア文庫―ビギナーズ・クラシックス)

「応天の門」関連書籍で読みました。
どこが関連?
菅原孝標女(すがわらのたかすえのむすめ)は道真の六代目の子孫なのです。
この本がこんなにいとしいものとは気づきませんでした。
ここには1000年前の文学少女がいて、
こんなにバリバリ感情移入できる平安の作家は初めてでした。
名前が伝わってないので更ちゃんと呼びます。
更ちゃんはお父さんの菅原孝標の転勤で東国で育ちますが、
そこでは更ちゃん憧れの文学は手に入らず、
物語が読みたくてしょうがない生活を送ります。
いよいよお父さんが都に戻ることになり、
旅の途中の様子を記します。
鬱蒼とした足柄山の中から出てきた美しい遊女たち。
役人の娘とはまた違う哀しい人生を思います。
都に戻ると昼も夜もむさぼるように物語を読みふけります。
お父さんは引退し、お母さんは尼になり、お姉さんは亡くなり、
その子どもたちの面倒をみる更ちゃんは30代になります。
宮仕えをすることになりますが、すぐに結婚。
夫は優しい人でしたが、
宮仕えで物語の主人公のようなイカした彼が出てきて心ときめきますが、
ご縁はありませんでした。
結婚後、20年すると夫もなくなり、寂しい生活になります。
でもここでぼんやり過ごす更ちゃんではありませんでした。
50代で「更科日記」を書くのです。
よくわかっていませんが「夜半の目覚め」だって
「浜松中納言物語」だって更ちゃん作かもしれないと言われています。
物語に憧れ、すてきな男子に憧れた更ちゃん。
でも彼女の一生は思い描いたとおりにはなりませんでした。
その中で自分を見つめて作家となったのです。
更ちゃんのことが大好きになりました。
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2019年02月10日

「筑紫の風 憶良と旅人」吉森康夫

筑紫の風: 憶良と旅人
筑紫の風: 憶良と旅人

憶良と旅人が登場する歴史小説。
憶良は百済にいたときから描かれています。
生まれは660年。
百済が滅亡し、憶良の父、憶仁は4歳の憶良とともに倭国に亡命。
憶良は苦労して勉強し、42歳で遣唐使に。帰国後、国司に。
大宰府へ筑前守としてきたのは67歳のとき。
その翌年、大宰帥として下ってきたのが大伴旅人。
朝廷では骨肉の争いが起こり、藤原氏が台頭。
大宰府では憶良、旅人らが友情をはぐぐみ、
稀にみる歌の世界を築き上げたのです。
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2019年02月09日

伊勢物語

伊勢物語 (角川ソフィア文庫―ビギナーズ・クラシックス)
伊勢物語 (角川ソフィア文庫―ビギナーズ・クラシックス)

「応天の門」関連で、在原業平がモデルと言われる「伊勢物語」を読みました。
「応天の門」に出てくる業平が高子を攫うシーンは六段。
「応天の門」では童女でしたが、こちらはもう少し大きくなっていそう。
主人公は太宰府にも来ています。
そこで自分をプレイボーイと噂する女性に、
「染川(藍染川のこと)をいつも渡っているあなたが色に染まらないということはないでしょう」と詠うと、
女性は「そんなのは濡れ衣だわ」と返します。
藍染川はこんな詠われ方をしていたのですね。
主人公は斎宮とも恋愛します。
惟喬親王(これたかしんのう)と鷹狩に行った際に詠んだ歌が
「世の中にたえて桜のなかりせば春の心はのどけからまし」。
桜の魅力を詠って、すてきすぎてたまりません。
最後の歌は56歳で亡くなった臨終の歌で締めくくられています。
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2019年02月05日

「応天の門I」灰原薬

応天の門 (10) (BUNCH COMICS)
応天の門 (10) (BUNCH COMICS)


馬の頭をした七尺もある真っ黒な物の怪、馬頭鬼(めずき)。
剣を狙う鬼だという。
唐よりさらに西の国。
そこに興味を寄せる道真。
滅ぼされた国の民は奴隷になる定め。
巻末には神幸式大祭のレポートを掲載。
これで現在発行済みの10巻すべて読了。
11巻はこの夏発売!
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2019年02月04日

「応天の門H」灰原薬

応天の門 9 (BUNCH COMICS)
応天の門 9 (BUNCH COMICS)

貴族たちが乗る牛車。
乗り方は後ろから乗って、
降りる時は牛をのけて踏み台を置き、前から。
従五位以上でないと牛車使用は許されないという。
この巻では源融(みなもとのとおる)が別邸の庭を完成させて披露する。
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「応天の門」G灰原薬

応天の門 8 (BUNCH COMICS)
応天の門 8 (BUNCH COMICS)


得業生試(とくぎょうしょうし)のための実力テスト、試。
いったいどんな問題が出されるのだろう?と思うが、
ここでは問題が提示されていて興味深い。
問一「漢詩における仏教と儒教について論じよ」
問二「山野における治水について論じよ」
さあ、どう書きましょうか??
道真の心に突き刺さる言葉。
それは「学問とは誰の為にあるのだ」。
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「応天の門F」 灰原薬

応天の門 7 (BUNCH COMICS)
応天の門 7 (BUNCH COMICS)

天皇に嫁ぐため幽閉されている藤原高子が
退屈しのぎに読みたいという「李娃伝(りあでん)」。
「李娃伝」 (795) は中唐の伝奇小説。
白居易の弟、白行簡の作。
長安の妓女李娃におぼれた名家の息子が、
落ちぶれて乞食になるが、
再び李娃に出会い出世する物語。
中国の伝奇小説はまだ読んだことがなく、
いつか読みたいと思っているジャンル。

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2019年02月01日

「応天の門」E灰原薬

応天の門 6 (BUNCH COMICS)
応天の門 6 (BUNCH COMICS)

菅原氏の私塾、菅家廊下。
どんなところだろうと想像していたものが描かれる。
それにはまず寝殿造りという建築様式を理解していないと。
菅家廊下で勉強する貴族たちの絵はなるほどこうだったのかと納得。
そこで道真の父、是善は言う。
「学ぶとはただ言われたことを繰り返すだけではない。旧きを知りて己の力で新しきを切り開くことが肝要なのだ」。
然り!
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2019年01月31日

「太宰府自慢 第七号」

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「応天の門」の作者、灰原薬氏は、
実は執筆前に太宰府天満宮に来たことがなかったそう。
訪れたのは昨年の神幸式のとき。
そしてその体験をこの「太宰府自慢 第七号」に描いています。
わたしはこれまで神幸式は昼間しか見たことがなかったのですが、
このレポートを見て、夜に行かなきゃだめだと思った次第です。
太宰府自慢は太宰府天満宮文化研究所の発行です。
posted by 理乃(ニックネーム) at 17:36| 福岡 ☔| Comment(0) | ★太宰府関連本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

「応天の門4」 灰原薬

応天の門 4 (BUNCH COMICS)
応天の門 4 (BUNCH COMICS)

子(ね)の日の風のない夜。
都大路を物の怪が夜行するという。
鬼火に照らされた車と鬼たちの群れ。
見た者は命を取られ、行列に加わる・・・。
クールな道真は鬼なんて存在しないと、確かめようとする。
それは何者の仕業?
posted by 理乃(ニックネーム) at 15:08| 福岡 ☔| Comment(0) | ★太宰府関連本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする