2022年08月20日

『スケッチブック』小箱とたん

『スケッチブック』は太宰府高校出身の小箱とたんさんの4コマ漫画。

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主人公は高校の美術部の梶原空。
高校の美術部部員たちのほのぼのとした日常が描かれています。
くすっと笑えるところもあり、
あるある感を懐かしく味わえます。
2002年〜2019年にわたって連載されたものが
コミック本で全14巻発売されました。
昨日、病院の待ち時間(長かった!)で一冊読了。
わたし自身も高校の美術部に入ろうと
体験入部したところ、いきなり石膏デッサンを描かされ
退屈で断念。
文芸部に入ることにあいなりました(笑)
『スケッチブック』は太宰府市民図書館で借りることができます。
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2022年02月23日

「古代からの伝言 悠久の大和」八木荘司

古代からの伝言 悠久の大和 (角川文庫) - 八木 荘司
古代からの伝言 悠久の大和 (角川文庫) - 八木 荘司

「古代からの伝言」三冊目は武烈天皇が亡くなり、
皇統が危機に陥る時代から。
その危機を乗り越えるため画策するのは大伴金村。
大伴氏は天孫降臨のときから大王家に仕えてきたとされる。
そうして即位したのが越の国から迎えた継体天皇。
継体天皇の治世の527年、新羅征討の勅命が出される。
動員兵力6万人。5万の敵を相手に大和軍は平壌まで攻め込んだという。
同年、国内では磐井の乱が起こる。
古代国家が直面した最大の内乱。
金村が送り込んだのは物部麁鹿火(あらかい)。
日本書紀によれば磐井は麁鹿火の兵に惨殺されたという。
継体天皇は82歳で亡くなる。
金村が失脚し、かわりに蘇我稲目が政権トップの座につく・・・。
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2022年02月13日

「古代からの伝言〜民族の雄飛」八木荘司

古代からの伝言 民族の雄飛 (角川文庫) - 八木 荘司
古代からの伝言 民族の雄飛 (角川文庫) - 八木 荘司

「古代からの伝言〜民族の雄飛」では倭国は海外に進出します。
男装し朝鮮半島で戦ったという神功皇后。
その子、応神天皇。
その二人に仕えた武内宿禰は弟の甘美内宿禰の讒言に遭い、
盟神探湯(くがたち)で身の潔白を証明。
政情が安定しない百済から倭国へ集団移住を希望した技術者たち。
民の貧しさを嘆き、三年の間、税と労役をストップした仁徳天皇。
自らも経費削減に努め、
宮殿の塀が崩れても、屋根が壊れても直さなかったといいます。
三年後の歌が
「たかき屋にのぼりてみれば煙たつ
民のかまどはにぎわいにけり」
巨大な古墳が作らていった時代、
第25代武烈帝をもって皇統断絶にの危機に陥ります。
この巻はここまで。
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2022年02月06日

「古代からの伝言 日本建国」

古代からの伝言 日本建国 (角川文庫) - 八木 荘司
古代からの伝言 日本建国 (角川文庫) - 八木 荘司

古代のことを知ろうと読み始めたこのシリーズの一冊目。
魏が卑弥呼に贈った親魏倭王の金印。
魏の首都洛陽に卑弥呼の使節団が到着したのは239年のこと。
正史は難升米(なしめ)で副使は都市牛利(としごり)。
はじめて入洛する二人の驚き。
魏は百枚の大型銅鏡をも卑弥呼に贈る。
やがて卑弥呼は亡くなり、動乱の時代がやってくる。
ここで神武天皇が登場。
日向の地にいた神武天皇はその地が一国の都になりえないと見定めると
海路で東へ向かう。
主家を支えたのは大友氏と久米氏。
豊後水道を北上し、最初に服属させたのは宇佐の部族。
そして紀伊半島から熊野、吉野を経て橿原にたどり着く。
日向を出て6年後のことだ。
東征と建国を行った日本市場稀有な素質を備えた神武天皇。
しかし神武天皇が統治したのは大和の半分。
初めて国を統御した天皇は崇神天皇といわれる。
崇神天皇は近畿全体、吉備から関東の一部まで服属させた。
次に九州征討へ出向いたのが景行天皇。
その息子が日本武尊。
熊襲征討に成功し、東国征討に出かけた中で亡くなり、
白鳥となった伝説が残る。
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2022年01月21日

「大和燃ゆ」八木 荘司

大和燃ゆ 上 (角川文庫) - 八木 荘司
大和燃ゆ 上 (角川文庫) - 八木 荘司

大和燃ゆ 下 (角川文庫) - 八木 荘司
大和燃ゆ 下 (角川文庫) - 八木 荘司

唐・新羅連合軍と戦った白村江の戦いが描かれます。
大将軍に起用されたのは大海人皇子。
でも決戦を目前にしたとき大海人皇子は大将軍を罷免されます。
そこに横たわるのは中大兄皇子と大海人皇子の微妙な関係。
決戦に駆り出された人々は命をかけて戦いに挑んでいきます。
大敗したのち、たった一年で築かれた水城・・・。
複雑にからみあう人間模様を理解するには、
古代史の知識がまだまだ必要でした・・・。
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2021年07月31日

「姫神」安部龍太郎

姫神 (文春文庫) - 龍太郎, 安部
姫神 (文春文庫) - 龍太郎, 安部

沖ノ島で出土した金の指輪。
その持ち主だった宗像一族の伽耶の物語。
時は聖徳太子の時代。
朝鮮半島は新羅、百済、高句麗に分断され、争いが絶えず、
中国には隋が誕生。
聖徳太子は隋と国交を結び、
東アジアを安定させようとしていました。
これに反旗を翻すのが蘇我氏。
聖徳太子側についた宗像一族は船を造り、
なんとか小野妹子らを隋に送り届けようとします。
同行した伽耶は・・・。
一口に遣隋使と言っても、
スムーズに海を渡っていけたわけではない、
困難な時代が想像できる小説でした。
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2021年07月09日

「風濤(ふうとう)」井上 靖

風濤 (新潮文庫) - 靖, 井上
風濤 (新潮文庫) - 靖, 井上

これは蒙古襲来、
文永の役(1274年)と弘安の役(1281年)の話。
けれど舞台は日本ではありません。
日本にとって二度にわたる蒙古襲来はおそるべきものでした。
対馬、壱岐、博多などを襲った
蒙古、高麗連合軍は情け容赦なく人々を殺害し
恐怖を感じるばかりでした。
しかし、この本で井上靖が描くのは
日本侵略の踏み台にされた高麗の苦悩です。
元の皇帝フビライの野望によって、
高麗は全土が兵站基地となり、
理不尽極まりない搾取を受けます。
元に蹂躙されながらも、
なんとか高麗の存立を守ろうと、
虚しい努力をする王(元宗・忠烈王)と
忠臣たち(李蔵用・金方慶)。
歴史は一面からだけ見ていては全容が掴めません。
俯瞰して見ることが大事だと
改めて気づかせてくれる歴史小説です。
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2021年06月25日

「迷宮の月」安部 龍太郎

迷宮の月 - 龍太郎, 安部
迷宮の月 - 龍太郎, 安部

これは粟田真人の二度目の遣唐使として長安に赴いたときの物語。
701年、第8次遣唐使の最高責任者、遣唐執節使に任命された粟田真人。
遣唐使といってもスムーズに長安に到着できるわけでなく、
長安に入ってからも簡単に皇帝に会えません。
いかにその旅が困難なものか、
そのことにページが費やされていきます。
663年の白村江の戦いで敗退したのち初の本格的な使節派遣で、
その役目は大変重いものでした。
しかも中国は則天武后が新た武周という国を建てていました。
このとき山上憶良も加わっていました。
中国内部の権力闘争に翻弄され、
圧倒的な国力を持つ中国と日本の関係を築くという重い使命を果たさねばならない粟田真人。
唐人から「好く経史を読み、属文を解し、容止温雅なり」と評されたという粟田真人は
その人間的魅力を武器に武周との交渉を成立させていったのでしょうか。
長安という迷宮に迷い込んだ粟田真人。
その皇帝はいつまでたってもたどり着けない雲の上の人でした。
そして出会ったのが則天武后の娘、太平公主(たいへいこうしゅ)、本名李令月。
この美しく妖しいばかりでなく気丈な迷宮の月と粟田真人の関係は?・・・。
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2021年06月13日

「襲来」帚木蓬生

襲来 上下巻 セット
襲来 上下巻 セット


蒙古襲来の話ですが、
この小説の主人公は北条時宗でも亀山上皇でも少弐資能でもありません。
日蓮に仕える孤児の漁民、見助(けんすけ)が主人公です。
漁師に救われ育てられた見助はやがて日蓮と出会い、
素直でまっすぐな人柄をかわれ、
日蓮の手足となる従者となります。
見助は国を憂う日蓮から対馬へ行くように頼まれます。
見助が対馬にたどり着くのはやっと下巻になってから。
それから蒙古襲来を目撃するのは13年後のこと。
襲来は悲惨なものでした。
二度目の襲来では対馬で狼煙守りをしました。
山奥に一人籠もり、
襲来を見逃さないという役目だけに身を捧げる日々。
見助が人生をかけてそこまでするのは
日蓮という人に心底ひかれたからでした。
日蓮が見助に語った教え
「見えるもの、聞こえるものの奥を、見て聞けるようにならないといけない」。
それはいつの時代の人々にも大切なこと。
強い絆で結ばれた日蓮と見助。
その最後は涙を誘います。
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2021年05月28日

「平城京」安倍龍太郎

平城京 (角川文庫) - 安部 龍太郎
平城京 (角川文庫) - 安部 龍太郎

平城京、その造営を巡るミステリー仕立ての歴史小説。
710年に遷都されたと日本史で学んだけれど、
どういうふうに造営されたかなんて考えたこともなかった。
安部龍太郎は平城京という都の造営プロジェクトを、
背後にうごめく得体のしれない動きと
翻弄される人間たちとともに描き出した。
藤原京遷都からわずか16年後、
どうして新たな都を築く必要があったのか。
平城京の造営司は阿倍宿奈麻呂(すくなまろ)。
阿倍比羅夫の息子だ。
阿倍比羅夫といえば白村江の戦いでの倭の水軍の後将軍。
のちに遣唐使となる比羅夫の孫、
阿倍仲麻呂もまだ7歳ながら聡明な子どもとして登場する。
主人公は阿倍船人(ふなびと)。
小説では比羅夫の息子で、
宿奈麻呂の弟として設定されている。
遷都を妨害する者たちの影・・・。
百済からの亡命人たち、不気味な鳥葬、
土木作業に長けた行基の一派・・・。
歴史上の登場人物が平城京造営を巡って動き出す面白さがここにある。
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2021年05月18日

「空海の風景」司馬遼太郎

空海の風景〈上〉 (中公文庫) - 司馬 遼太郎
空海の風景〈上〉 (中公文庫) - 司馬 遼太郎

空海の風景〈下〉 (中公文庫) - 司馬 遼太郎
空海の風景〈下〉 (中公文庫) - 司馬 遼太郎

太宰府に関連する小説として
「空海の風景」を読んでみました。
空海が主人公の小説は初めてでした。
これは人間空海を理解するための優れて貴重な一冊。
これだけの異能の人物が平安時代の日本に現れた奇跡。
あまりに常人を超越した地球人であったことを知りました。
当時、空海は長安で唐の言葉を通訳なしで
操るどころか(同時期に行った最澄には通訳がいました)、
他を凌ぐ異才で作った漢詩は長安の文人の尊敬を集め、
サンスクリット語まで短期間で修得。
師である恵果にはすぐには会わず、
自身の才能が広く知れ渡るまで根回しをした上で会い、
密教の最高位を授かってしまいます。
恵果は初対面で空海の素質を見抜き、
即座に密教の奥義伝授を開始したとのことでです。
帰国してからもすぐには都へ上がらず、
観世音寺に2年間も滞在して機を伺います。
空海が滞在したと思うと、
観世音寺は格別な感慨なしに歩くことはできません。
この平安時代の超人が日本という狭い世界でなく、
長安という当時の世界最大の国際都市で
もっと活躍していたならどうなっていたのでしょう・・・。
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2021年05月02日

「裸足の皇女(ひめみこ)@永井路子

裸足の皇女(ひめみこ) (文春文庫) - 永井 路子
裸足の皇女(ひめみこ) (文春文庫) - 永井 路子

古代を舞台に歴史の脇役にフォーカスした短編9編でまとめられた本。
主人公となるのは以下の人物たち。
欽明天皇の妃、蘇我小姉君(そがの おあねのきみ)。
大津皇子の妻、山辺皇女。
穂積皇子と坂上郎女。
藤原麻呂と坂上郎女。
百代と坂上郎女。
宿奈麻呂と坂上郎女。
弟上娘子と中臣宅守。
登紀麿と川樫皇女。
坂上郎女が多く、作者のお気に入りの人物だったのでしょうか。
細やかな心理描写は女性作家ならでは。
中の一編「水城相聞」は大宰府が舞台。
恋多き坂上郎女が旅人に呼ばれ大宰府にやってきます。
そして大伴百代と束の間の恋をします。
「事もなく 生き来しものを 老いなみに かかる恋にも 我はあへるかも」
百代の恋の歌のお相手は坂上郎女だったというお話。
梅花の宴にも参列している百代。
その後、豊前守にもなったそう。
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2021年05月01日

「威風凛々 烈士鐘崎三郎」@鐘崎三郎顕彰会編

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「威風凛々 烈士鐘崎三郎」という本を読むまで、
鐘崎三郎という人は知りませんでした。
太宰府にもゆかりのある人であることが
読んでみてわかりました。
鐘崎三郎は現在の城島町の出身。
その父寛吾は円心と名乗る絵師でもあり、
太宰府天満宮宝物殿が所蔵している
神幸式絵巻の写本を描いています。
寛吾は城島の青木天満宮(青木村はかつて安楽寺の荘園だった)の社僧でしたが、
太宰府天満宮安楽寺の社僧となり、
その後、平戸の樹光寺の住職となりました。
妻の貞は太宰府天満宮の社家、小野家の出身でした。
寛吾は明治2年に三郎が生まれたあと、
長崎に移り、そこで亡くなりました。
三郎はのちに母も亡くし、
11歳で福岡の勝立寺の住職、加藤日龍の弟子になります。
しかし運命を変えようと出奔。
上京して東京幼年学校に入るも兄の死で帰郷。
三潴郡役所で働くも落ち着かず、長崎で中国語を勉強。
明治24年に日清貿易研究のために上海に渡航。
明治27年に日清戦争が起こると人並みはずれた能力をかわれ
通訳官として諜報活動に従事。
偵察中に捕らえられ処刑されました。
葬儀には3万人が参列したそうです。
三郎が志したものとは?という問いをこの本は追いかけます。
明治に散った青春。
その三郎の胸像は風浪宮外苑大川公園にあります。
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2021年04月20日

「白村江」荒山 徹

白村江 (PHP文芸文庫) - 荒山 徹
白村江 (PHP文芸文庫) - 荒山 徹

白村江の戦関連の小説はいくつか読みましたが、
これは圧倒的でした。
作家は朝鮮半島の歴史・文化を学ぶために
韓国に留学したとかで、
半島の状況が詳細に描かれ、
倭国側からでない視点があります。
660年、唐・新羅連合軍によって滅亡した百済。
王と一族は長安に送られました。
ただ政敵として鬼室福信によって孤島で殺される直前、
入鹿によって救われた豊璋がただ一人残っていました。
孤島での豊璋の母の無残な殺戮から始まる場面は
まるで生臭い血の匂いのする映画を見ているよう。
その筆力に鷲掴みされ、
小説世界に引き込まれていきます。
新羅の金春秋、高句麗の泉蓋蘇文、
蘇我入鹿、葛城皇子(天智天皇)、
古代の登場人物が入り乱れる激動の東アジア。
ついに迎えた白村江の戦いで明かされる
葛城皇子の野望とは!
白村江の戦いで惨敗したにかかわらず、
襲ってこなかった唐。
そして大挙して亡命してきた百済高官たちが、
その後の日本で果たしてきた重要な役割・・・。
白村江の戦いの意味を考える貴重な一冊。
*歴史・時代小説ベスト10(週刊朝日/2017年)第1位。
歴史時代作家クラブ賞作品賞受賞
本屋が選ぶ時代小説大賞2位。
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2021年01月17日

「天智帝をめぐる七人」@杉本苑子

天智帝をめぐる七人 (文春文庫) - 杉本 苑子
天智帝をめぐる七人 (文春文庫) - 杉本 苑子

あの大作、長屋王事件を描いた「穢土荘厳」の作家、
杉本苑子による「天智帝をめぐる七人」。
古代史の重要人物、中大兄皇子とはどんな人物であったのかを、
周りにいた七人の目を通して浮き彫りにしようとした作品。
その七人とは軽皇子、有間皇子、額田女王、
常陸郎女、鏡女王、中臣鎌足、鵜野皇女。
妖しい少女の造形もうまい。
からだをくねらせて踊る胡人の少女、比留児(ひるこ)。
混迷する古代史の、この時代を生きた人々への興味は尽きない。
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2021年01月04日

「天智伝」中西進

天智伝 (中公文庫) - 中西 進
天智伝 (中公文庫) - 中西 進

長く天智天皇に心惹かれてきたという中西進先生。
この本はご自身で最も愛着ある本の一つといいます。
中西先生が天智天皇に惹かれるのは
多弁を弄する卑しさを持たず、
果敢な行動者であったからだそう。
自己弁護を捨てた人間はしばしば誤解をされます。
ゆえに天智天皇は非情な人物という評価があります。
しかし中西先生は批判を承知の上で、
あえてことを行った大きさに惹かれるのだといいます。
果たして天智天皇は非情な人物だったのか?
天智天皇を読み解く手がかりとなる貴重な一冊。
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2020年12月25日

「天の川の太陽」@黒岩重吾

天の川の太陽〈上〉 (中公文庫) - 黒岩 重吾
天の川の太陽〈上〉 (中公文庫) - 黒岩 重吾

天の川の太陽 (下) (中公文庫) - 黒岩 重吾
天の川の太陽 (下) (中公文庫) - 黒岩 重吾

上下合わせて1300ページほどの大著。
さすがに読むのに時間を要しました。
古代日本最大の内乱、壬申の乱を描いた歴史小説。
近江大津宮で疎外され吉野に逃れた大海人皇子。
天智天皇の太子・大友皇子にに対して大海人皇子が兵を挙げた内乱。
周到な用意があったればこそ勝利した戦。
その過程を克明に描く黒岩重吾の取り組みに圧倒されます。
吉川英治文学賞受賞作。
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2020年09月01日

「万葉 花・風土・心」犬養孝著

万葉―花・風土・心 (現代教養文庫) - 犬養 孝
万葉―花・風土・心 (現代教養文庫) - 犬養 孝

やっとこの本を入手。
この中にわたしの愛してやまない万葉の小径について
書かれている箇所があるからです。

「ここからの落葉の道が好きだ。
周辺が開発されているのに、
ここばかりは何年たっても変らない。
市街からまったく忘れられたようにして残っている道だ。
杉木立や雑木林の中にはいってゆくと、
落葉が踏むたびに音立てる。
こんなにすばらしい道、こんなに古代のおもかげを事こまかに宿した道がまたとあるだろうか。
わたくしは、これこそ旅人・憶良が行き交うた
古代の道といってもおかしくないように思われる。」
ラベル:犬養孝 万葉
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2020年08月21日

「天翔(あまかけ)る白日 小説大津皇子」@黒岩重吾

天翔る白日―小説 大津皇子 - 黒岩 重吾
天翔る白日―小説 大津皇子 - 黒岩 重吾

古代史を彩る皇子たちの中でも
大津皇子(おおつのみこ)はひときわ気になる存在です。

大津皇子は天武天皇の皇子に生まれながら
非業の死を遂げます。
白村江の戦いのため祖母が一族を率いて赴いた那大津で生まれたゆえに大津皇子。
母は天智天皇皇女の大田皇女。
同母姉が大伯皇女。妃は天智天皇皇女の山辺皇女。

『懐風藻』に、「状貌魁梧、器宇峻遠、幼年にして学を好み、
博覧にしてよく文を属す。壮なるにおよびて武を愛し、
多力にしてよく剣を撃つ。
性すこぶる放蕩にして、法度に拘わらず、
節を降して士を礼す。これによりて人多く付託す」とあります。

文武に優れ、人望がある実に魅力的な人物です。
母の大田皇女は鵜野讃良皇后(後の持統天皇)の姉。
元気であれば皇后のはずでしたが、
大津が4歳頃の時に薨去。
姉の大伯皇女は斎女とされました。
母が生きていれば運命は変わっていたと思いますが、
皇太子に選ばれたのは異母兄の草壁皇子。
鵜野讃良皇后と草壁にとって邪魔となった大津は
次第に追い詰められ、首をくくられることになるのです。

これはその間の事情を克明に描いた小説。
最終部分は哀れで涙を誘います。

大津皇子、大伯皇女、山辺皇女や愛した女性の歌が、
当時の人々の心情を今に伝えます。

*ウィキペディア参照
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2020年08月20日

天智と天武〜新説・日本書紀D@原案監修:岡村昌弘 漫画:中村真理子

天智と天武 ―新説・日本書紀―(5) (ビッグコミックス) - 園村昌弘, 中村真理子
天智と天武 ―新説・日本書紀―(5) (ビッグコミックス) - 園村昌弘, 中村真理子


斉明天皇、朝倉橘広庭宮で崩御。
それは朝鮮出兵に気乗りしない斉明天皇に苛立った
中大兄皇子が自ら手にかけたものでした。
大友皇子は中大兄皇子と瓜二つに育っていきます。
朝鮮を我のものにしようとする中大兄皇子は出兵の準備を進めます。
Eはいよいよ白村江の戦い。
どう描かれているのか楽しみです。
中村真理子氏は建物の描写も素晴らしく、
次々に現れる歴史の中の建造物が見られるもの楽しみです。
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