『大仏開眼』。
そこに吉備真備とともに登場したのが玄昉でした。
玄昉はやがて太宰府に左遷され、怪死を遂げるのですが、
その墓がひっそりと太宰府にあります。
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玄昉は717年（養老元年）学問僧として遣唐使に随行します。
18年間、唐にいた間にあの玄宗皇帝に才能を認められ、
紫の袈裟の下賜を受けました。
735年（天平7年）の遣唐使に随行し、
5000巻の経典を携えて帰国。
聖武天皇に信頼され出世。
740年（天平12年）には藤原広嗣が玄昉を排除しようと
九州で兵を起こしました（藤原広嗣の乱）。
藤原仲麻呂が勢力を持った745年（天平17年）、
筑紫観世音寺別当に左遷されると、
翌746年（天平18年）、太宰府で亡くなるのです。
『元亨釈書（げんこうしゃくしょ）』には、
空中から手があらわれて玄昉を連れ去り、
頭だけが興福寺に落ち、
これは広嗣の霊のせいであるという記事があります。
ドラマでは出世欲の強い破壊僧として描かれていますが、
18年も唐にいて、
玄宗皇帝からも認められ、
多くの経典を持ち帰った僧の真実の姿とは
いかなるものであったのでしょう。
今、玄昉のお墓の前にたたずんでも
何も分かりません。
でもこの太宰府の地の一角は
歴史を超え、土地を超え、
生死にかかわる荒波の向こう、
唐の時代、
あの楊貴妃を寵愛した玄宗皇帝の時代とつながっているのです。
※『元亨釈書』は鎌倉時代に撰せられた日本初の仏教通史。
★2010年4月13日撮影の写真を追加します。
