
平城京 (角川文庫) - 安部 龍太郎
平城京、その造営を巡るミステリー仕立ての歴史小説。
710年に遷都されたと日本史で学んだけれど、
どういうふうに造営されたかなんて考えたこともなかった。
安部龍太郎は平城京という都の造営プロジェクトを、
背後にうごめく得体のしれない動きと
翻弄される人間たちとともに描き出した。
藤原京遷都からわずか16年後、
どうして新たな都を築く必要があったのか。
平城京の造営司は阿倍宿奈麻呂(すくなまろ)。
阿倍比羅夫の息子だ。
阿倍比羅夫といえば白村江の戦いでの倭の水軍の後将軍。
のちに遣唐使となる比羅夫の孫、
阿倍仲麻呂もまだ7歳ながら聡明な子どもとして登場する。
主人公は阿倍船人(ふなびと)。
小説では比羅夫の息子で、
宿奈麻呂の弟として設定されている。
遷都を妨害する者たちの影・・・。
百済からの亡命人たち、不気味な鳥葬、
土木作業に長けた行基の一派・・・。
歴史上の登場人物が平城京造営を巡って動き出す面白さがここにある。


