
迷宮の月 - 龍太郎, 安部
これは粟田真人の二度目の遣唐使として長安に赴いたときの物語。
701年、第8次遣唐使の最高責任者、遣唐執節使に任命された粟田真人。
遣唐使といってもスムーズに長安に到着できるわけでなく、
長安に入ってからも簡単に皇帝に会えません。
いかにその旅が困難なものか、
そのことにページが費やされていきます。
663年の白村江の戦いで敗退したのち初の本格的な使節派遣で、
その役目は大変重いものでした。
しかも中国は則天武后が新た武周という国を建てていました。
このとき山上憶良も加わっていました。
中国内部の権力闘争に翻弄され、
圧倒的な国力を持つ中国と日本の関係を築くという重い使命を果たさねばならない粟田真人。
唐人から「好く経史を読み、属文を解し、容止温雅なり」と評されたという粟田真人は
その人間的魅力を武器に武周との交渉を成立させていったのでしょうか。
長安という迷宮に迷い込んだ粟田真人。
その皇帝はいつまでたってもたどり着けない雲の上の人でした。
そして出会ったのが則天武后の娘、太平公主(たいへいこうしゅ)、本名李令月。
この美しく妖しいばかりでなく気丈な迷宮の月と粟田真人の関係は?・・・。



