
風濤 (新潮文庫) - 靖, 井上
これは蒙古襲来、
文永の役(1274年)と弘安の役(1281年)の話。
けれど舞台は日本ではありません。
日本にとって二度にわたる蒙古襲来はおそるべきものでした。
対馬、壱岐、博多などを襲った
蒙古、高麗連合軍は情け容赦なく人々を殺害し
恐怖を感じるばかりでした。
しかし、この本で井上靖が描くのは
日本侵略の踏み台にされた高麗の苦悩です。
元の皇帝フビライの野望によって、
高麗は全土が兵站基地となり、
理不尽極まりない搾取を受けます。
元に蹂躙されながらも、
なんとか高麗の存立を守ろうと、
虚しい努力をする王(元宗・忠烈王)と
忠臣たち(李蔵用・金方慶)。
歴史は一面からだけ見ていては全容が掴めません。
俯瞰して見ることが大事だと
改めて気づかせてくれる歴史小説です。



