羅生門・鼻・芋粥・偸盗 (岩波文庫) - 芥川 竜之介梅香の宴の饗宴に出されたかもしれない芋粥。
芥川龍之介の作品に「芋粥」があるので、読んでみた。
今昔物語をベースに書かれた小説だ。
主人公は藤原基経に仕える名もない五位の男。
背は低いし、赤鼻で、目尻は下がり、頬はこけ、
風采の上がらなさといったらなく、
人々から無視され、馬鹿にされていた。
そんないじめられ男の五位の唯一の希望は
芋粥を飽きるほど食べてみたいということ。
ある饗宴の席で同じ基経に仕える藤原利仁に
芋粥を飽きるほど食べさせようと誘われる。
利仁は敦賀の婚家まで五位を連れていく。
下人に切り口三寸、長さ五尺の山芋を用意させると、
なんと二三千本も集まった。
庭には巨大な鍋が用意され、下女たちが甘葛で山芋を炊き始めた。
その様子を見ているだけで五位の食欲は失せていき、
並々とつがれた芋粥を前にすると、
食す前から満腹となり、目をつぶっていやいやながら食べた。
さらに勧められるも、
それ以上はもどしてしまいそうで無理だった。
そしてその場へ来る前の京で愚弄されながらも
芋粥に憧れていた幸福な自分を懐かしく思い出した、というお話。
人間の幸福とは何なのだろう?ということを考えさせる作品。
にしても度を越したもてなしをする基経は究極のいじめっ子。
悪人ばかりが登場する物語の中で唯一、五位側に立つ無位の青年がちらりと登場する。
この青年は悪態をつかれても、
「いけぬのう、お身たちは」と気弱に言うだけの五位の姿を見て、
心を寄せ、世の中の下等なことを思うのだ。
物語からはずれたところにいるこの青年を登場させた芥川。
これこそが芥川の分身なのではないだろうか。
いじめる人々よ、それは下等なことなのですよ。
まさに現代に通じる文学だ。
※芋粥:山芋をツタの樹液を煮詰めた甘葛煎で炊いた古代スイーツ。
posted by Rino(ニックネーム) at 14:11| 福岡 ☀|
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