2020年02月24日

「美貌の女帝」永井路子

新装版 美貌の女帝 (文春文庫) - 永井 路子
新装版 美貌の女帝 (文春文庫) - 永井 路子

今も皇位継承で女系天皇を認めるかの問題があるが、
古代には女性天皇はいた。
草壁皇子の正妃だった元明天皇。
そして元明天皇の後を継いだ本書の主人公、元正天皇。
父は天武天皇と持統天皇の子の草壁皇子、母は元明天皇。
それまでの女帝が皇后や皇太子妃であったのに対して、
美貌でありながら独身を通した女性天皇だった。
出生の蘇我氏の宮廷における力を守るために闘った生涯。
永井路子は元正天皇の生涯を女性の視点から描く。
政治の陰謀渦巻く時代に、女帝の力を見直し、再評価する。
元正天皇は単なる中継ぎではなかったということが描かれる。
元正天皇サイドの人物として旅人も家持も登場。
天平の太宰府の理解を深める一冊。
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2020年02月11日

「芋粥」 芥川龍之介

羅生門・鼻・芋粥・偸盗 (岩波文庫) - 芥川 竜之介
羅生門・鼻・芋粥・偸盗 (岩波文庫) - 芥川 竜之介

梅香の宴の饗宴に出されたかもしれない芋粥。
芥川龍之介の作品に「芋粥」があるので、読んでみた。
今昔物語をベースに書かれた小説だ。
主人公は藤原基経に仕える名もない五位の男。
背は低いし、赤鼻で、目尻は下がり、頬はこけ、
風采の上がらなさといったらなく、
人々から無視され、馬鹿にされていた。
そんないじめられ男の五位の唯一の希望は
芋粥を飽きるほど食べてみたいということ。
ある饗宴の席で同じ基経に仕える藤原利仁に
芋粥を飽きるほど食べさせようと誘われる。
利仁は敦賀の婚家まで五位を連れていく。
下人に切り口三寸、長さ五尺の山芋を用意させると、
なんと二三千本も集まった。
庭には巨大な鍋が用意され、下女たちが甘葛で山芋を炊き始めた。
その様子を見ているだけで五位の食欲は失せていき、
並々とつがれた芋粥を前にすると、
食す前から満腹となり、目をつぶっていやいやながら食べた。
さらに勧められるも、
それ以上はもどしてしまいそうで無理だった。
そしてその場へ来る前の京で愚弄されながらも
芋粥に憧れていた幸福な自分を懐かしく思い出した、というお話。

人間の幸福とは何なのだろう?ということを考えさせる作品。
にしても度を越したもてなしをする基経は究極のいじめっ子。
悪人ばかりが登場する物語の中で唯一、五位側に立つ無位の青年がちらりと登場する。
この青年は悪態をつかれても、
「いけぬのう、お身たちは」と気弱に言うだけの五位の姿を見て、
心を寄せ、世の中の下等なことを思うのだ。
物語からはずれたところにいるこの青年を登場させた芥川。
これこそが芥川の分身なのではないだろうか。
いじめる人々よ、それは下等なことなのですよ。
まさに現代に通じる文学だ。

※芋粥:山芋をツタの樹液を煮詰めた甘葛煎で炊いた古代スイーツ。
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2020年02月09日

「氷輪」永井路子

氷輪 (上) (中公文庫) - 永井 路子


氷輪 (上) (中公文庫) - 永井 路子氷輪(下) - 永井路子
氷輪(下) - 永井路子

井上靖の「天平の甍」の続編とも言えるような物語。
苦難の末、日本へやってきた鑑真と弟子の僧たちのその後とはいかなるものだったのだろうか。
彼らを招いた聖武天皇が政治の表舞台を去ったあと、
藤原仲麻呂が権力を握った時代。
奈良の都は政争渦巻き、彼らは時代の波に翻弄される。
唐招提寺はたやすく完成したわけではない。
来日後の鑑真は決して厚遇されたわけでなく、唐招提寺はその死後弟子たちの努力により、親王の館を譲り受けなんとか建てられたのだった。
鑑真が普及させたかった戒はついに日本には根付かなかった。
資料を紐解き、政治小説とも歴史小説とも取れる本作はすばらしいの一言。
鑑真とその弟子の足跡を追ってみたいなら恰好の一冊。
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2020年01月06日

「死者の書」折口信夫

死者の書 (角川ソフィア文庫)
死者の書 (角川ソフィア文庫)

年末年始で読んだ「死者の書」。
「かぞくわり」という「死者の書」をヒントにした中将の姫の生まれ変わりが主人公の映画を見たとき、
「した した した」という大津皇子が葬られた石室の壁にしたたる水音のオノマトペが心に染み、
未読だった「死者の書」をぜひとも読まねばと思ったのでした。
この言語感覚はまさしく詩人のもの。
「死者の書」は詩人にしか書けない小説だと思いました。
不思議で妖しく、美しすぎるイメージに満ちた、
人が人を恋うる物語。
そこに大伴家持が登場してきたのは予期せぬことでした。
強烈な読書体験をもたらした一冊。
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2019年12月31日

「まろ、ん?―大掴源氏物語」  小泉 吉宏

まろ、ん?―大掴源氏物語
まろ、ん?―大掴源氏物語

まさに源氏物語が大づかみできる漫画です。
なんと光源氏は栗の姿で描かれています(笑)
そしてまろと呼ばれています。
54帖もある源氏物語、どういうことが描かれているのかを
ざっと知ることができます。
これを見ても大宰府に滞在していた玉鬘は何度も登場し、
源氏物語の中でも重要人物とわかります。
玉鬘は源氏の想い人、夕顔の遺児。
源氏との逢瀬の途中急死した夕顔。
玉鬘は4歳で乳母一家に伴われて大宰府へやってきます。
乳母の夫太宰少弐が死去した後、
上京できないまま20歳になります。
その美貌ゆえに求婚者が多く、
中でも肥後の豪族大夫監は強引で、ついに京へ逃げ帰ります。
しかし夕顔を探す当てもなく、
参詣の旅の途中夕顔の侍女で今は源氏に仕える右近に再会。
右近の報告を受け源氏は玉鬘を自分の屋敷に迎え入れ、
後に玉鬘は髭黒と結婚することになります。
16年もの間、大宰府にいたという設定の玉鬘。
物語ではあるけれど、
どのあたりに住んでいたのか気になるところです。
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2019年12月15日

「緋の天空」葉室麟

緋の天空 (集英社文庫)
緋の天空 (集英社文庫)


藤原不比等と県犬養橘三千代の娘で聖武天皇の皇后となった光明子が主人公の小説。
728年、光明皇后がやっと生んだ男の子、基王は夭折。
後継を巡る紛争の中で長屋王の変が起こります。
長屋王の変後の729年、光明子は王族以外から異例の皇后となります。
大宰府で梅花の宴が催されたのは730年のこと。
やがて光明皇后の娘の阿倍内親王は孝謙天皇として即位。
天然痘が流行して藤原四兄弟がすべて亡くなったり、
聖武天皇は不安な心そのままに都を転々と移したり、
光明皇后を取り巻く状況は困難なことばかり。
そんな悩み多い人生に寄り添った小説となっています。
この本でわたしの関心を最も引いたのは長屋王の息子、膳夫(かしわで)王。
光明子と膳夫は幼いころ心を通わせたという設定です。
梓澤要の小説「阿修羅」では阿修羅像のモデルは橘奈良麻呂でしたが、
葉室麟の小説では阿修羅像のモデルは膳夫とされています。
どちらにしても阿修羅像のメランコリックな表情は想像を掻き立ててやみません。
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2019年12月05日

「悲歌大伴家持」 田中阿里子

田中阿里子の夫は作家の邦光史郎。
前回の太宰府ブックカフェで紹介するには間に合いませんでした。
やっと読了。
貴重な家持が主人公の一冊。
丹念にその生涯をたどっています。
藤原氏の台頭に反発し、血気逸る同族を押さえ、
なんとか古来からの豪族、大伴家を絶やさないことに腐心した家持。
人生の最後はそのかいもなく、謀反の罪をきせられ、
亡くなったあと、骨になっても息子永主とともに隠岐に流されました。
恩赦を受けたのは没後20年以上経過したのちのこと。
万葉集という最古の歌集を編纂した人もまた
政争に巻き込まれ翻弄された人でした。
その人も少年時代、そして長じても大宰府に滞在していました。
父が大宰府で催した梅花の宴のすべての歌を掲載し、
序までつけたために、今、大宰府は令和の里として脚光を浴びています。
旅人邸跡が人気を呼んでいますが、家持の足跡もまた重要です。

悲歌 大伴家持 (徳間文庫)
悲歌 大伴家持 (徳間文庫)
ラベル:大伴家持
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2019年10月15日

「万葉の秀歌」中西進

万葉の秀歌 (ちくま学芸文庫)
万葉の秀歌 (ちくま学芸文庫)

万葉集約4500首の中から中西進先生が252首をセレクトして解説した本。
歴史も含め、歌に込められた情趣を、わかりやすく紐解いています。
貴族から防人まで、いろんな階層の人々の歌が含まれる日本人の財産、万葉集。
令和で改めて脚光を浴びる万葉集を令和の名付け親と言われる著書が導く一冊です。
ラベル:中西進 万葉集
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2019年10月04日

「大伴家持 波乱にみちた万葉歌人の生涯」藤井一二

大伴家持 - 波乱にみちた万葉歌人の生涯 (中公新書)
大伴家持 - 波乱にみちた万葉歌人の生涯 (中公新書)

大伴旅人の息子で「万葉集」を編纂したとされる家持。
名門の家に生まれながら、父を早く失い、政争渦巻くなかで、家を守りました。
北から南まで、官人として赴任して出向き、
美しい風景を歌に詠みました。
時代に翻弄されながらも編んでいった万葉集。
それは周りの貴族の歌のみならず、
名もなき人々の歌も含めた壮大な歌集となりました。

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2019年09月27日

「大伴旅人 人と作品」中西進編

大伴旅人――人と作品 (祥伝社新書)
大伴旅人――人と作品 (祥伝社新書)


中西進先生が万葉集の歌人の中で最も好きな歌人が旅人であったがために
「令和」という年号は生まれました。
平明で気品があり、おおらかな歌を残した旅人。
なぜ中西先生がそんなにも旅人を愛したのか、
理解の一助になる本です。

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2019年09月12日

令和読書memo「万葉恋づくし」梓澤要

万葉恋づくし
万葉恋づくし


万葉集の名歌が7つの物語になるという小説でした。
「弟」では大伴家持の弟の書持が登場します。
家持はその名の通り、
大伴家の嫡男として家を背負ってしっかり生きています。
けれど書持は家持に比べると精彩がありません。
地味だけど優しい書持は思う人に気持ちを伝えることもなく亡くなります。
共に大宰府で子ども時代を過ごした二人。
梅花の宴にも接していた二人の兄弟。
その名の通り書持は書に親しんだ人生を静かに送り、
若くして亡くなっていったのでしょうか。
「おその風流男(みやびお)」は旅人の弟田主が主人公。
官人の世界に嫌気がさして宮仕えを辞めています。
隣に棲む、石川郎女と恋のやり取りをしますが・・・。
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2019年09月03日

令和読書memo「古代史で楽しむ万葉集」中西進

古代史で楽しむ万葉集 (角川ソフィア文庫)
古代史で楽しむ万葉集 (角川ソフィア文庫)

歌の解説だけに終わらず、古代史を紐解きながら万葉集を紹介する本。
万葉集の背後の歴史を学びたい人にぴったり。
「梅花の宴」に関係する歌人たちも、もちろん登場。
旅人、憶良、坂上郎女、家持、小野老、沙弥満誓、麻田陽春・・・。
万葉の時代にいた人間たち。
富める者も、貧しき者も、歌を残した、
この日本人の財産をもっと知らなければと思う。
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2019年08月24日

「悲しみは憶良に聞け」中西進

悲しみは憶良に聞け
悲しみは憶良に聞け

令和の考案者といわれる中西進氏の著作を初めて読みました。
タイトルにシビレます。
中西先生の立場は憶良は百済の医師憶仁の息子で、
白村江の敗戦後、父に連れられ倭国に亡命してきたというもの。
生い立ちを考察し、憶良の抱えた悲しみを紐解いていきます。
在日、帰国子女の悲しみ。
ノンキャリア公僕の悲しみ。
貧乏の悲しみ。
病気の悲しみ。
老いの悲しみ。
愛と死の悲しみ。
誰も貧乏なんか歌わなかった時代。
誰も憶良のように74歳という高齢まで生きられなかった時代。
大宰府へ来たのは66歳のとき。
73歳でやっと帰京したものの、74歳で亡くなっています。
人生に苦悩し、格闘した人間憶良が迫ってきます。
ラベル:憶良
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2019年08月17日

「天の眼 山上憶良」星野秀水

天の眼 山上憶良
天の眼 山上憶良

梅花の宴関係の小説を読んでいますが、なかなかありません。
この本は山上憶良の生涯を描いたもの。
作者の星野秀水さんは本名、仁田原秀明さん。
高校の校長、福岡女子短期大学学長もされてこられました。
この本は憶良は百済からの亡命者という位置付です。
物語は白村江の戦いがあった百済から始まります。
中大兄皇子は百済に行ったという設定。
豊璋は鎌足であったという意外な説もとられています。
ヤマトに亡命し医師であった父の教えの通り、
目立つことなく堅実に学問に励んでいた憶良は遣唐使として唐に派遣され、
官僚への道を上っていきます。
筑前の国司となって大宰府へやってきて、旅人とも交流。
今話題の旅人邸はここでは月山となっています。
国府は政庁の後ろ。
国司という立場と貧しい庶民との板挟みになり、
どうすることもできない自分に和歌を残すという意義を見い出します。
最後、任期を終え、平城京に戻る憶良を吹田の湯で人々が送別会をするシーンが印象的。
そこに出席したのは官人はもちろん、大野城の山城を作った老人、防人などもいました。
社会の底辺にいる人を歌にした憶良だったからこそでした。
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2019年08月13日

「万葉の華 小説坂上郎女」三枝和子

万葉の華―小説 坂上郎女
万葉の華―小説 坂上郎女

大伴旅人の時代の小説を探して出会った書。
坂上郎女は旅人の異母妹。
旅人の妻が亡くなったのち、
旅人を支えるために大宰府にやってくる。
梅花の宴の章もある。
食べ物や食器まで描かれているところが女性作家らしい。
旅人亡きあとは家刀自として大伴家を支えた。
この小説では万葉集の発案は坂上郎女のものとなっている。
朝廷の権力闘争にいやおうなく巻き込まれる大伴家。
坂上郎女はそんな中で波乱に満ちた生涯を送る。
家持は陸奥に派遣されている最中に病死。
家持の息子の永主も隠岐に流され、
坂上郎女が支え続けた名門大伴家は没落する。
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2019年08月06日

「中大兄皇子伝」黒岩 重吾

中大兄皇子伝〈上〉 (講談社文庫)
中大兄皇子伝〈上〉 (講談社文庫)

中大兄皇子伝〈下〉 (講談社文庫)
中大兄皇子伝〈下〉 (講談社文庫)

白村江の戦いを指揮した中大兄皇子。
戦いに敗れると水城と大野城、基肄城を築いた。
大宰府の地も行き来したはず。
入鹿を殺害した残虐な皇子の生涯が知りたく、
この本を読んでみた。
新しい律令国家を建設するために、
鬼となって邪魔者を排除した皇子の青年期から死までを追った小説。
血気盛んな皇子に侍る鎌足。
激動の時代を生きた皇子は数々の禁忌を打ち破った。
残念ながら水城は築いたとあるだけ。
億礼福留がわずかながら登場。
他に億礼福留が出てくる小説はあるんだろうか?
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2019年05月27日

「蛇衆」矢野隆

蛇衆 (集英社文庫)
蛇衆 (集英社文庫)

あることで太宰府関連本なので読んでみた。
室町末期、領主がたちが争う戦乱の時代。
どこにも所属せず、
傭兵として雇われるまま戦乱で格闘する6人の集団「蛇衆」がいた。
宗衛門老人が手引きし、各地を渡りあるいていたが、
九州の鷲尾嶬嶄に雇われることになる。
その戦いぶりはすさまじく、それぞれ得意の武器を手に
人をまっぷたつに切ったり、血だらけの殺戮を繰り返す。
頭目の朽縄にはある出生の秘密があり、
一人、仲間を抜け武士となる道を選ぶ。
それが蛇衆壊滅の序章だった・・・。
スピード感のある展開、不条理な世界で生きる異端児たち。
主人公と思しき人物が途中で死ぬという意外なストーリー。
ゲーム世代の新たな歴史小説。
ラベル:矢野隆 蛇衆
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2019年05月21日

「言霊 大伴家持伝」篠崎 紘一

言霊 大伴家持伝 (角川書店単行本)
言霊 大伴家持伝 (角川書店単行本)

ブーム到来の万葉集。
1200年もあとに、注目されているこの日々を家持はどう思うだろう。
政治に翻弄され、何度も謀反の罪を着せられながら、
家持は万葉集編集に苦心し、国書と認めさせることに尽力した。
その苦労が描かれた小説。
残念ながら少年期を過ごし、
梅花の宴をそばで見ていただろう大宰府での日々は描かれていない。
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2019年05月07日

「巨海に出んと欲す」金重明

巨海に出んと欲す
巨海に出んと欲す


純友物三作目は金重明(キムチュンミョン)の「巨海に出んと欲す」。
貴族が私利私欲に走り、下々を圧迫していた10世紀。
自由な海の民の世界を夢見る純友は海賊たちを先導し、
遊女や傀儡(くぐつ)、青い瞳の外国人などを東国に放ち、
平将門が乱を起こすように図ります。
うまくいくように見えた作戦は将門と純友のあっけない死により幕をおろします。
美しい海賊の女頭と青い瞳の男の実らぬ恋。
異国との貿易の富を独り占めしていた大宰府を焼き尽くした炎。
巨海に自由に出ようとした純友の熱い思い。
権力に立ち向かうその姿はかっこいい。
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「海と風と虹と」海音寺潮五郎

海音寺潮五郎全集〈第3巻〉海と風と虹と (1971年)
海音寺潮五郎全集〈第3巻〉海と風と虹と (1971年)

現在、政庁跡で見られる礎石は第V期のもの。
第U期の政庁は天慶4年(941年)の伊予の海賊、藤原純友により焼き討ちに遭い
焼土と化しました。
悪者とされた純友は腐敗した貴族政治に反旗を翻したヒーローだという小説
「絶海にあらず」(北方謙三)を以前読みましたが、
純友は魅力のある人物らしく、他にも小説があります。
その一冊がこの海音寺潮五郎の「海と風と虹と」。
二段組の大著で読破にかなり手こずりました。
傀儡の描写が素晴らしかったです。
1976年にはNHK大河ドラマにもなっています。
ラベル:藤原純友 純友
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